当院では近視治療としてオルソケラトロジーを積極的に実施しておりますが、中では適性の合わない方もいらっしゃいます。そこで、当院では1年前よりその代替治療として多焦点コンタクトレンズEDOFを用いた治療も開始しておりました。前回のブログでもお伝えしましたが最新の研究ではEDOFはオルソケラトロジーの代替治療として近い効果が期待できるとされております。今まで学会で報告されるだけでしかなく、日本では唯一2年前より京都府立医大で開始されておりますが現在治験中です。ですが、当院では1年経過し、実際にオルソケラトロジーに近い効果が示される結果となりましたのでいち早くご報告します。強力な近視抑制効果を持つオルソケラトロジーには劣りますがEDOFのメリットは合併症が少ないことです。当院では今後の近視治療として大いに期待できるものと考えております。
第35回JSCRS学術総会(日本白内障屈折矯正手術学会)がWebで開催されました。
オルソケラトロジー近視抑制効果についての報告内容をまとめると以下のとおりでした。
◉現在の近視抑制治療の主流はオルソケラトロジー と多焦点コンタクトレンズ(EDOF)である
多焦点コンタクトレンズ(EDOF)はオルソケラトロジー と同等の効果あり
◉軽度近視にはオルソケラトロジー +低濃度(0.01%)アトロピン点眼の併用が効果あり(木下望Dr.)
中等度近視にはオルソケラトロジー 単独で効果あり(Shi-Ming Li Dr.)
◉オルソケラトロジー は小学生のような若年で始める方が効果的である(平岡孝浩Dr.)
当院ではオルソケラトロジー治療とともにオルソケラトロジー が不適用である方には多焦点コンタクトレンズ(EDOF)の治療も積極的に行っております。
失明の恐れのある網膜の病気、網膜色素変性は今まで有効な治療法がないとされてきましたが、このたび国から臨床研究が認められました。神戸市立神戸アイセンター病院が京都大iPS細胞研究所が備蓄しているiPS細胞を使って移植手術し、安全性を評価するというものです。動物実験ではうまくいっておりヒトでの有効性が課題とされています。iPS細胞をもとにした再生医療では、これまで目の組織をはじめ、神経、心筋、血小板などが作られ臨床研究や治験として患者さんへの移植が進められてきました。今回の研究で網膜色素変性の患者さんへの光明が差すことを期待しています。